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夏目漱石 作『吾輩は猫である』を読んで

ネット上に於いて繰り広げられるやり取りは得てして、物事を単純視し短絡的な考えで人を罵倒し、バカにしがちだ。しかし、その対象が自分の期待を裏切るとプライドが傷つくのか激怒し、余計に執着して過激化へと向かい、あら探しに終始するのを私は嫌と言うほど見てきた。要はその対象の存在に呪われるているのである。

 


原因はよくわからないが、人間という存在の難解さを理解できない、もしくはしようとしないからかもしれない。まあ、人はメンツが保てないと怒るのだろう。

 


大学生の時分、私はネットに影響され人を理解しようとせず冷笑的で嫌な人間であった。しかしその過ちに気付き、人の多面性への理解が深まったのが夏目漱石吾輩は猫である」である。

 


多くを語ることは野暮であろう。苦沙弥の苦悩や迷亭の呑気そうに見えつつも、自身が抱いている時代への不満等に、吾輩はどのように結論づけるのか…少なくとも、自動車教習所の待ち時間に読んでいた、世間知らずの私には今までにない読書体験であった。

 


ネットで調べればすぐわかることであるが、あまり前提の知識がない方がいいと思う。

猫で得た読書体験が未熟ながら私の人生の土台となっている。


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