トランプ関税が世界各国の市場を大きく揺らしています。東京株式市場の代表的な株式指数である日経平均も、数日連続で大幅な下落となり、数多くの投資家たちは今後の趨勢に多大な注視を払っているでしょう。
報道機関はトランプ関税の影響をマクロ経済学の観点からはじき出された数字で今回の関税の影響力を報道しています。確かにそれは当然であり、反論をするのは野暮でしょう。ただ今回のトランプ関税は、何らかの学問の観点からあえて考察すると、社会科学全般に応用されるゲーム理論的な考えがトランプ政権の行動原理にあるのではないかと思いました。トランプ氏はこれをディールと形容していますが。また私はゲーム理論のどこから今回のケースにおいて抽出すればいいのかわからないと事前に言い訳もしときます。
今、トランプ政権下では今回の関税政策と共に国際関係の緊張の緩和も大きなミッションであり、特にウクライナ戦争の停戦問題にトランプ氏は相当意欲的です。しかし、その交渉相手の一人は百戦錬磨のプーチン氏であり、停戦交渉も難航しているのが現状です。
以下の記事においてトランプ氏はプーチン氏に苛立っているのではという観測があります。
トランプ氏のビジネス界での成功を応用したディール外交は当然その実行力が担保されないと有効に機能せず、実行力がないと(いい表現が思い浮かばないので悪い表現となるのですが)公約もいわば大言壮語的になってしまうきらいがあります。要するに口だけであるとなめられたらディール外交に何の効力もないのです。その効力を保持するためには、政策を実現する際にどこかで大きなショックを起こし、実行力を誇示する必要があるはずです。
私は異端的であると思いますが、今回のトランプ関税は世界一旺盛な消費力をカードに経済政策という枠を超えた、トランプ政権の今後を雌雄を決する包括的な戦略であるのではと思います。これで楽観的に見ていた他国もより一層、真剣にアメリカと向き合うでしょうし、繰り返しになりますがアメリカはその旺盛な消費を素に、あらゆる交渉においてより有利な条件を引き出すこと狙っているのではないでしょうか。
トランプ政権の狙いはおそらく、製造業の雇用の創出でしょう。そういう意味ではコストを無視した場合、世界各国の企業がとるべき対応は単純です。現地に工場を作り良質な雇用を創出すればいいのです。
言うは易く行うは難しなのは重々承知ですが、これがトランプ政権の経済政策を超えた包括的な戦略だという仮定があっていたら、まだ許容範囲であると無理やりに解釈できるかもしれません。世界一の軍事力を持つ国の元首の行動原理によほどの場合を除き、武力が想定されていないのではという仮定が生まれるからです。