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大竹 文雄 著『行動経済学の使い方』を読んで

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経済学の知見を実社会に応用しようとしたら、かなりの場面で生活者の慣習と衝突したり、利害に影響を与えるので政治的決着を求められ玉虫色的になることが多い。


行動経済学は政府や生産者側が消費者側(必ずしも一方的では無いだろうが政府、生産者側からのアプローチが多いだろうと思う)にこちらの意図に沿った行動を促すための知恵を与え、上記の問題の有効な解決方法を与えてくれる。


それは厚生の向上へのコストを削減して社会全体の効用をあげることが出来るのだろうが、パレート改善に至るまでの調整過程に、人間行動の面白さを感じることができるとしたら、そこも法則が発見され理論化されていくと何か味気ないような気がする。


また権力にとっては非常に有効な武器になり得るので、表面上は自由民主主義を標榜している国家が、実は巧妙な世論誘導により市民を恣意的に特定の層に有利になるように操作している、いわば操作された民主主義へと移行するのではという一抹の不安を感じる。


ただネガティブなことを言っても仕方がない。行動経済学は制約がある資源を有効に利用、配分方法を思考すると言う経済学の理念に沿っていると思う。


消費者側からもこの理論を熟知する必要があるだろう。社会が我々にどう行動させようと動機付しているのかを理解することは政府や生産者側にとって必ずしも都合が悪い訳では無い。誠実なコミュニケーションを発生するきっかけを与え、市民社会の熟成が期待できるからだ。


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