本日付の朝日新聞の一面において、公然の秘密である安倍晋三前首相と統一教会のつながりが、より公的な事実としての裏付けとなる写真を公開されました。
前述の通り、安倍氏と統一教会との深い関係は公然の秘密であるので、記事自体にはさほど驚きはありませんが、このように地道に日本の闇の部分を公にしていくことは、非常に大事であると思うので、この記事の重要性は高いと言えるでしょう。何より、国会の質疑において新聞記事を引用することは頻繁なので、朝日新聞の日本社会の公の立ち位置から踏まえても、記事を出すということの意義は非常に高いといえます。
また私はこの記事で、安倍氏と統一教会との関係性以上に面白いなと思ったことがあります。それはファクトチェックと言ったらいいのかどうかわからないですか、結構な紙面を割いて、提供された写真の真実性を検証していることです。それが面白いなと思うのは普段、私がスクープ記事に注目することがあまりないからであり、スクープ写真の真実性について常日頃から言及されているのかもしれません。ただ、生成AIの普及により、自由に画像が生成できるようになり、容易に捏造が可能となっていることから、提供された写真についてより精緻な検証が行われ、それを紙面において言及されているのではと思わされました。
この記事において、朝日新聞は安倍前首相がその当時、東京五輪招致のバッジを身に着けていたことや、新聞報道されていた首相動静から照らし合わせて周到にファクトチェックがなされ、この記事の真実性を主張しています。
繰り返しになりますが、生成AIの驚異的な進化によりこれからの時代、写真が証拠能力を持ちえないようになるかもしれません。そういった中、報道機関は読者に記事の説得力を持たせるため、より調査能力を洗練させる必要があるのは自明でしょう。しかし、新聞社等マスコミは経営難が続いていて、十分な報道能力を維持するのがいっぱいいっぱいになっていると言われています。
マスコミに対する世間の目は厳しく私も不満を持っている人間の一人です。しかし、健全な民主主義の維持のためには権力から独立した報道機関は絶対に必要です。経営難から権力の甘い手に落ち、権力の迎合機関になることは何としても避けなければなりません。私が以下の事を言及するのは、おこがましいかもしれません。ただ、マスメディアが権力にますます牛耳られている現状、声をあげる必要があると思います。
提案:私たちはなるべく批判的な態度を保ちながら民営の新聞を読むようにし、自問自答の熟慮を重ね、健全な議論を行うようにする。
金科玉条的というか教条的というか当たり前の事を言っただけですが、情報が大量に流れてくる現代社会で一歩、その前線から離れて新聞を読むのもいいと思っています。
最後に余談ですが、本日付の天声人語は非常に洗練されていると思いました。