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過疎化の問題をどう捉えるか

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 私の数回の転職経験の中で印象的なのは、福井の建設コンサルタントにおいて堰堤(砂防ダム)の点検作業等、土木構造物の改修計画の仕事に携わった経験です。

 

 山中に点在する様々な堰堤を点検しに福井中を車で回るという仕事内容は面白かったのですが、対人環境が最悪すぎて、泣けてくるほどの屈辱を浴びた経験は一生忘れることはないでしょう。

 

 ただ、人生経験の中において、まったく得るものがなかった無駄な経験というのは一つとしてないはずです。この仕事においても勉強になったことは多々あり、持論を形成する参考になっているので、ありがたい経験だなと、殺意を感じるほどの憎悪を向けられた人間が、到底持ちえないほどのレジリエンス力をもってある種の感謝をここで表明したいと思います。皮肉ではないですよ。

 

 今日の記事は、福井中の山中を回り、そこにおいて上司から教えていただいた知識から導き出した持論を展開したいとおもいます。限界集落の問題においてです。

 

 人口減少社会下の日本において、大きな問題の一つは消滅の危機に瀕している、限界集落が数多く地方に点在していることです。そしてその問題をどう対処するかというと、限られた日本の労働力、資本では到底、このような集落を維持するのは困難であるから、都市に集約して消滅させるのが最も効率的である、という策がかなりの支持を集めているかと思います。

 

 確かに、限界集落に若い人を呼び込む誘因はほとんどなく、消滅していく集落が今後ますます増えていくのは受け入れていかないといけないでしょう。山間の県道からさらに林道を20分程度、車で走行してから出てくる集落に訪れた私の経験からでも、このような不便の中、無理やり人を呼び込むような政策をとるという事はほぼ不可能だなと感じざるを得ません。ただ、私は簡単にそのような集落を見捨てるという選択をとるという事が本当に効率的な選択肢であるかというと疑問があります。それを治山、治水という観点から説明することができます。

 

 山の奥地に集落があるということは何らかの(大抵は林業でしょうが)生産活動が行われている、いたかで、その集落に至る林道はちゃんとその人々の生活を守っていくためにちゃんと整備されています。それは当地の人達の努力によるものです。治水のための堰堤はそのような林道の最中、もしくは抜けたところにあり、都市部に住む我々はそのような当地の人たちの努力にフリーライドして、洪水、土砂災害の被害を抑えられていると言っても過言ではないのです。また、治水のためには治山も必須なのは明らかです。集落に住んでいる方々は山が商売道具なので、山に人の手を加え、荒れっぱなしになるのを防ごうとします。そのような治山の努力は、都市部の人の災害を最小限にして、また豊かな海産資源を整備する土壌となります。以上のように、集落というのは日本にとって、決して足でまといになるものではなく、むしろ様々な生産物を産み出す産地であったり、豊饒な文化資本の中で生活していると言われる(笑)都市部の人々の安全保障上の基盤となっているのです。

 

 前述の通り、だからと言って限界集落に人を呼び寄せるというのは簡単なものではありません。ポツンと一軒家のようなものをイメージしたらショックを受けるかと思います。本当の限界集落ってどぎつい表現で大変失礼ですが、ちょっとグロテスク味があります。テレビで出てくるのはやっぱりきれいな所を映しています。

 

 話がそれましたが何が言いたいかというと、地方創生というのはこのような問題と向き合う事だと思うのです。清和会中心の自民党政権だったころは、従来の自民党の基盤であった地方から、都市部の資産家を優遇する政策を推し進めました。党内政権交代が起こり石破首相は地方に再び希望を(大意)といったことを述べていますが、なんも経済的価値を産み出さないから無駄な領土を放棄すると言ったことは我々は到底言えない、受け入れられないことから、私はこのような方針転換を評価します。そして、踏み込んだことを言いますが勝ちすぎない程度に今回の衆院選で自民が議席をとって、石破政権が安定した基盤をもって本格的な政権運営をしてほしいと思っています。

 

 最後に余談ですが、集落を見捨てるべきだというような表面的な効率を重視する右派のような方は北方領土は即刻返すべきだと息巻く立場だと思いますが、噴飯ものだと思います。結構広いから、そんな思考では絶対持て余しますよ。


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