円安の弊害が叫ばれる昨今、7月30,31日に開催される金融政策決定会合において、利上げが決定されるか否かは、金融関係者のみならず多くの国民が注目しているのではないでしょうか。本日付けの日経を読んでいたら、関係機関のそれぞれの思惑が書かれていました。
政府内には金融政策の正常化に前向きという見方もあれば、それをけん制している動きもあり、統一された見解はないように思えます。
まず、金融政策正常化の肯定派から見ていきましょう。岸田首相や茂木幹事長はやんわりと正常化のステップを踏むことが望ましいという発言をしています。踏み込んだ発言をしたのが河野大臣です。河野大臣は直接的に政策金利を上げる必要があると報道機関のインタビューで答え、後に日銀の独立性の観点からか発言を撤回しましたが、内閣の中枢においては、やはり国民の声に答える必要があるからか、金利引き上げを推す動きが強いように思えます。
一方の消極派は財務省です。主張としては、消費の力強さに欠いているからとのこと。金利が上がり国債価格が低下するのは財務省にとって一番困ることなので、なるべく慎重にしたいのもあると思います。また自民党内にも消極派がいるのですが恐らく安倍派の議員はそういう意見を持つ傾向があると思います。
このような思惑に板挟みになっていますが、建前としては政府に対して独立性を持つ日銀はどのように動くのでしょうか?日銀ウォッチャーを対象にした調査では「利上げなし」が7割に達しています。
為替介入後のドル円は一時より円高に傾き、アメリカでも9月?には緩和観測が出ています。さらにトランプ氏も当選後すぐに緩和すると表明しているので、予測不能ですが為替相場は円高傾向になるのかもしれません(アメリカの財政問題が表面化するとまた変わってくるかもしれません)。そのため利上げに動かないという予測は素人の私が判断するのも僭越ですが(マジで)納得できるものであります。ただ日銀は消費に対する見解が政府と異なるのでこれは不確定要因でしょう。
最後にくだらない思考実験をしたいと思います。人事権を司る岸田首相直属の内閣府と、金庫番である財務省が仮に日銀の政策決定に影響が持てるとしたら日銀はどちらに従うでしょうか?愚問だなと思うかもしれませんが、やはり私は内閣府だと思います。それは安倍政権以来の官邸主導政治の影響力は、国税庁を有する財務省よりも上回っていると思うからです。
為替水準が現在のように落ち着いている場合、上から強い声は日銀に来ないでしょうが、為替が急変して国民の声に政府中枢が押されたら日銀もウォッチャーの予想を外す行動をするというのがくだらない思考実験の結果です。