五輪が既にホットトピックではない世論の移り変わりの速さは、ネット上に大量の情報があふれているからでしょうが、ネットの喧噪からうまく距離をとることが世の中をうまく生きていく一番のコツであるのはここ10年弱の傾向でしょう。
Xでバズっている話題に乗っかっていくのは卑怯ですが、自分もこの件の是非はどうなんだろうと少し考えたので、ブログネタに苦しんでいる私にとって埋め合わせにはちょうどよい思います。バズった話題とは、男の汗は臭いのでちゃんと対策やらなんやらすべきだ、という意見を奔放にぶちまけた女性アナウンサーが晒しものになったというものです。こんな話題、世の中のあちこちで繰り広げられているだろうに、なぜこのタイミングで大規模でその怒りを一人の個人にぶちまけるのか私にはわかりません。
人としての慈悲を見せないというか、弱っている人をさらに追い込むというネットの非人道性に対して、炎上の対象の人の人格がどんなものであろうが、擁護しとくというのが、第三者の立場である私がとるべき態度であると思うので、自動的に私は彼女に対して擁護を試みるのです。
実際、彼女に対して、批判することも、擁護することも可能でしょう。
まず、批判者の立場になりたいと思います。私も夏の暑さにより汗を大量にかくのですが、その時来ていたTシャツの匂いというのはやはり臭いです。それに加えて、私の父はそういうのに無頓着で私よりさらに強い匂いが付いた衣類が組み合わさると洗っても匂いが取れないというか、洗濯の意味をなしません(やはり一人暮らしをしていた時はそこまで衣類に匂いはなかったという記憶があります)。私は、人前に出る機会は現在ないので、別に今はそこまで気にしていないのですが、学生の時や実家から職場に通勤している時はかなり気をもんでいたものでした。そうした中で、女性から臭いと態度に示されるのは、結構心にくるし、お前はそんなことを堂々と表明できるほどの立派な人間性を持っているのか!と思わず怒ってしまいたくなります。そういう意味で批判者が不愉快な思いをされるのは十分に理解できます。
一方、擁護する立場になって考えてみましょう。
その立場になって出てくる言葉は単純明快です。
女がそのような直観を大切にする生き物であるのはもうしょうがないし受け入れるのが賢い生き方ではないか。
私は女性の言う清潔感とか言う言葉はあまり合理的だと思いません。同じ行動をしていても、それをする人によってそれに対する評価が異なるのを見てきましたし、気の毒だなと思いもしました。私も一時期、嫌な思いをしたし、これからも味わう経験があるかもしれません。女性の方でもしこれを読んでいる方がいたら、不快な男性にも一定の配慮をもって接してほしいと哀願します。
ただ、女性というのはそういう感覚を大事にするのは生物学上仕方がないものなんだということはしばらく人生経験を積んだ批判者もわかっているかと思います。もしわからなかったら谷崎潤一郎の『卍』でも読んだりしてください。『細雪』等、他の作品でもいいでしょう。
だから女はダメなんだ。男は理性で物事を判断するから女より優秀なんだ!と気色ばむ方も出てくるでしょう。しかしそんなあなた方にも胸に手を当てて沈思すると思い当たることも出てくるはずです。気に食わない人間に対して幼稚な嫌がらせをして合理性を持ちえないいちゃもんを付け、自分がその対象より優秀であると誇示しようとしたことを。