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『令和の虎』から考える日本再興の道

 金を持っているという部族もしくは集団は何かという質問が与えられたら、多くの人はユダヤ人や華僑を思い浮かべるでしょう。彼らは教育に熱心で知的に優れているという評判ですが、やはりその力の一番の源泉は彼らの強い人的なコネクションの結果、広範な情報ネットワークを形成していることによるのは間違いないでしょう。

 

 ユダヤ系の強さは金融、マスコミ、ITと情報生産の最前線に位置する産業を牛耳っており、彼らは常にインサイダーとして市場を動かすことができます。華僑の強さは世界中に彼らの互助的な拠点が点在し、そこで同族間の強い結束で地道に商売に励むことでその商圏を広げていき、彼らが共に豊かになっていくという好循環が作られているからだと思います。

 

 要するに商売を成功させる一番の要因は情報をいかに早く仕入れるかであり、その情報を仕入れるためには、強い人的ネットワークの形成を構築できるかどうかなのだと思います。日本を例にすると慶應義塾はいかにもという感じですよね。

 

 約20年前に一大ムーブメントを起こした『マネーの虎』のフォーマットを令和の時代に再びよみがえらせた『令和の虎』という番組が流行っています。ここに出てくる出資を無心する人たちは、コネも少ないし手持ちのお金も心許ないですが、自分の野望を実現したいという意志を持っているため、虎たちにぼろ糞言われるのを覚悟して、出演を決心されているのだと思います。

 

 もし私が出資者ならどういった方に出資したらいいだろうと考えてみたくなります。虎として出演されている方は、番組としての構成上彼らのプレゼンと一回こっきりの面接で判断されています。ただ、出資者の方も絶対的な自信をもって依頼者のプレゼンの是非を判断できると思っているわけではないだろうし、たった一度の面接で人格を判断できると思っているわけではないだろうと信じたいです。例えば、人事部で面接を担当されている方が対象の方の人格を限られた時間の面接ですべて見破っているのだなと私たちが得心できるかというと多くの方は否定的になるでしょう。

 

 では、限られた時間で何を見たらいいかというと、まず既存の持っている人間関係が良好かということではないでしょうか。いざという時にその人の力になってくれる人が周りにどれだけいるかということを把握しておくと、最初の事業が思い通りにうまくいかなくても、別の仕事をもらえる機会に恵まれるかもしれません。また、偉い人に好かれるような愛嬌というのを持っていると仕事を有利に進めるのは間違いありません。当然、下請けで働いている方にもいざというという時助けたいなと思ってもらえると窮地を救ってくれることになるでしょう。以上で見てきたことをまとめると、商売で大事なのは、学歴では測れない総合的な人間力がものを言うということではないでしょうか。

 

 日本の経済的地位の低下が叫ばれ久しいです。要因を挙げろと言われたらそれぞれ多種多様な意見が上がると思います。その中で一つ今思い浮かんだのは、個人主義が歪な形で浸透しているからだということも要因の一つではないでしょうか。個人主義はそもそも多様な人格を認め一人一人を尊厳ある人間であると認めあう考えだと思います。ただ今の日本は好き勝手生きても尊重されるのだという勝手な解釈を個人主義という言葉に当て嵌めてるように思います。今の日本はとてもギスギスしていて、人の懐に入ろうするのも難しくなっているのではと思ってしまいます。私自身もそういった傾向があります。それは個性でもありますが、社会の風潮がその人格を作った面もあるかもしれません。杉田敏先生のテキストには人間は社会的な動物であると頻繁に記述されています。たった一人の力で何かを成し遂げようとしてもその力は限られてるというのは私の実感でもあります。また、多くの人が何らかの要因により連帯が結成されるとその力がとてつもなく強くなるという素晴らしい経験も私はしています。

 

 日本が正しい方向に導く正確な情報を適切に得て、それに向かって邁進するためには、アホみたいな愛国心に踊らされずに、適切で俯瞰的な連帯意識(これをユダヤ系や華僑が持っている)を形成する必要があるのではないでしょうか?


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