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Channel: リハビリ人間のよろずブログ
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昔は落語を聴いていた

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 幼少から、内気でコミュニケーションをどうとっていいのかわからず、面白い話とかすることが苦手でした。中学生になると『エンタの神様』などのネタ番組が流行ったので面白い人が学校で市民権を得られる時代だったのだと思います。私は、小学生のころからラジオを聴くのを趣味に持つサブカル好きのませた人間だったので、そういう所から面白い話を聞きちょっとしたことで引用してみて同級生に受け入れてもらおうとしていたことを記憶しています。お笑いブームということで落語も聞いていました。相当なおませさんですね。

 

 後年になって、そのような耳を駆使するメディアはコミュニケーション能力において、そのような話を組み立てる能力よりも、傾聴力の向上に私にとっては非常に役立ったなと思います。ラジオや落語といったエンターテインメントはテレビよりも不親切というか、集中して傾聴するつもりでないと、裏方や観客が笑っていても何が面白いのか不明になります。ラジオにおいて皮肉めいた話や落語の頓智が何を意味するのか、聴取を重ねていくとだんだん理解できて何か大人の世界に入ったような優越化に浸ることができました。後年になって、そのようなませた優越感を恥ずかしく思うようになることもあるのですが、それはおいといて、何度か酒の席で聞き上手やなぁと褒められたこともあり、このようなエンタメに触れることの効果はあったのだと思います。

 

 落語は今は触れる機会が少ないのですが、五代目桂文枝が好きです。当代はどうなんだと言われそうですが、私は理解出来たら偉そうに感じれる古典落語を好んで聞くので、現代落語はほとんど聴かないのです。ただ、やはり現代落語の旗手ということで功績はものすごいですし、日本の芸能史に残る方だと思います。また、たまにテレビで芸を披露されているのを見ても面白いなぁと思います。

 

 五代目の桂文枝は女性の役の演じたらそれは一流であると言われています。私はそれを知らずに聴いていて、この人の女性役は上手いなぁと思っていて、その評価を『ラジオ深夜便』の紹介で聞いた時、とても嬉しかった思い出があります。そういう世間の評価と自分の感覚があってたら妙に嬉しくなるのが長年、日本人をやってきた私なのです。『鍬潟』を演じている時の主人公の妻が出す母性の表現が私は一番好きです(Youtubeやニコニコでアップロードされていた数少ない演目の中だけですが)。とても背の低い相撲好きの男が相撲部屋に稽古に行くという話なのですが、そこから帰ってきた後、その妻がいろいろ世話するのですが、そこでのやり取りが牧歌的で非常にほんわかするのです。何か部活で非常に疲れた後、夜分に家に帰ると母親が食事の準備や風呂を入れてくれていたなということを思い出します。今は働いている母親の方も多いので今の学生さんがそのような経験はあまりないかもしれませんが、ちょっとした幸せ者だったのでしょう。

 

 また、今の人が聴いても面白いなと思ってもらえる演目は『喧嘩長屋』だと思います。古典落語の世界と現代社会では風習が異なるので、笑いどころって難しいと思います。そのため枕の部分が下手したら一番の盛り上がりになってしまいかねないという本末転倒になってしまう危険性があります。『喧嘩長屋』はそのなかハチャメチャな展開で笑いどころがわかりやすく、特に五代目が演じると、登場人物の間の抜き方っていうのが非常に絶妙であると私は思います。


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